Claude Advisor Strategy(アドバイザー戦略)とは、2026年4月9日にAnthropicが発表した新しいAPI機能で、安価なモデル(SonnetまたはHaiku)をメインの実行役として動かしつつ、難しい判断が必要な場面でのみ最上位モデルOpusに相談する仕組みです。これにより、Opus単体と同等の品質を保ちながらAPI費用を最大12%削減できます。
この記事でわかること
Advisor Strategyの仕組みと従来手法との違い / APIでの実装方法(コード例付き) / ベンチマーク結果と費用シミュレーション / どんなユースケースに向いているか
従来のマルチモデル構成との違い
AI開発では「賢いが高い」と「安いが品質が落ちる」の二択が長らく課題でした。Advisor Strategyはこの二択を解消します。
❌ 従来:サブエージェント方式
大きなモデル(Opus)がタスクを分解→小さなモデルに分配→結果を統合。Opusが常時稼働するため費用が高い。コンテキスト管理やオーケストレーションのコードも必要。
✅ 新:Advisor Strategy
小さなモデル(Sonnet/Haiku)がタスクを最初から最後まで実行→行き詰まった時だけOpusに相談→アドバイスを受けて再開。Opusの稼働は1回400〜700トークンだけ。
つまり、従来は「Opusが指揮官、Sonnetが兵隊」だったのが、Advisor Strategyでは「Sonnetが現場監督、Opusは困った時だけ電話する顧問弁護士」に変わります。この発想の転換が、コストと品質のバランスを劇的に改善しています。
ベンチマーク結果:どれだけ賢くなるのか
| 構成 | SWE-bench Multilingual | BrowseComp | コスト |
|---|---|---|---|
| Sonnet 4.6 単体 | 72.1% | — | $$ |
| Sonnet + Opus Advisor | 74.8%(+2.7pt) | — | $(-11.9%) |
| Haiku 4.5 単体 | — | 19.7% | $ |
| Haiku + Opus Advisor | — | 41.2%(+21.5pt) | $ |
特筆すべきは、Haiku+Opusアドバイザーの組み合わせです。BrowseCompスコアが19.7%→41.2%へと2倍以上に跳ね上がっています。Sonnet単体の71%には及びませんが、コストは85%安く、大量処理タスクに最適です。
APIでの実装方法(3ステップ)
ステップ1:ベータヘッダーを追加
anthropic-beta: advisor-tool-2026-03-01
ステップ2:toolsにadvisorを追加
{
"model": "claude-sonnet-4-6",
"tools": [
{
"type": "advisor_20260301",
"name": "advisor",
"model": "claude-opus-4-6",
"max_uses": 3
}
],
"messages": [...]
}
ステップ3:システムプロンプトを調整
コーディングエージェントの場合はAnthropicが推奨するプロンプトテンプレートを使用します。Advisorツールは他のツール(Web検索、コード実行など)と同じloopで併用可能です。
重要なポイントとして、max_usesパラメータでOpusへの相談回数を制限できます。3回に設定すれば、1リクエストあたりOpusが使うトークンは最大2,100トークン(700×3)程度に収まります。
費用構造:なぜ安くなるのか
コスト内訳の仕組み
・実行役(Sonnet/Haiku)のトークン → Sonnet/Haiku料金で課金
・顧問役(Opus)のトークン → Opus料金で課金(1回400〜700トークン)
・Advisorツール自体の利用料 → なし(無料)
Opusが生成するのは短い「計画」や「修正指示」だけなので、全体のコストは実行役モデルの料金が大部分を占めます。
向いているユースケース・向いていないユースケース
✅ 向いている
・コーディングエージェント(大部分のコード生成はSonnet、設計判断だけOpus)
・マルチステップのリサーチパイプライン
・Computer Use(PC操作の大半は機械的だが、判断が必要な場面がある)
・大量のドキュメント処理(Haikuで処理、品質チェックだけOpus)
❌ 向いていない
・単発の質問応答(Advisorを呼ぶ機会がない)
・全ターンで高度な推論が必要なタスク
・超短いタスク(Advisorのオーバーヘッドが相対的に大きい)
Claude Codeでも利用可能
APIだけでなく、Claude Codeでも /advisor コマンドでAdvisor Strategyを有効化できます。ターミナルでClaude Codeを使っている開発者は、Sonnetモードで実行しながら難しいタスクだけOpusに相談する、という使い方が1コマンドで実現します。
よくある質問
Advisor Strategyは無料プランでも使えますか
Advisor StrategyはAPI機能のため、Claude APIの利用契約が必要です。claude.aiの無料チャットでは利用できません。APIの料金は実行役モデル(Sonnet/Haiku)の料金+Opusに相談した分のトークン料金で計算されます。
Advisorの回答は何トークンくらいですか
Opusが1回の相談で生成するトークン数は、計画や修正指示として400〜700テキストトークン(思考トークンを含めると1,400〜1,800トークン)程度です。
既存のツール(Web検索やコード実行)と併用できますか
はい。AdvisorツールはMessages APIのtoolsに追加する「もう1つのツール」として動作します。Web検索、コード実行、カスタムツールとすべて同じリクエストループ内で併用可能です。
max_usesはいくつに設定すべきですか
Anthropicは3回を推奨しています。コーディングタスクでは、設計判断・行き詰まった時の打開策・最終チェックの3回で十分なケースがほとんどです。
まとめ
Claude Advisor Strategyは「安いモデルで走らせて、困った時だけ賢いモデルに聞く」というシンプルな発想を、API 1行の設定で実現した機能です。SWE-benchで+2.7pt、BrowseCompで+21.5ptの性能向上と、11.9%のコスト削減を同時に達成しており、AIエージェントを構築する開発者にとって新しいデフォルトパターンになりえます。
関連記事
→ Claude Opus vs Sonnet|違いと使い分け基準