結論
Googleは2026年8月28日、一部のクエリでAI Overviewsが最初から全文表示される挙動を認めました。「もっと見る」ボタンが消え、AIモードの質問ボックスまで開いた状態で表示されます。オーガニック検索結果は、その分だけ下へ押し下げられます。順位を維持していてもクリックが減る可能性があるため、順位ではなく表示回数とクリック数で判断してください。
Googleの検索結果で、AI Overviews(AIによる概要)の見え方が変わっています。
これまでは要約の一部だけが表示され、全文を読むには「もっと見る」をクリックする必要がありました。それが一部のクエリで、最初から全文が展開された状態で表示されるようになっています。
何が変わったのか
| 項目 | これまで | 一部のクエリで |
|---|---|---|
| AI要約の表示 | 冒頭の一部のみ | 最初から全文 |
| 「もっと見る」 | あり(クリックが必要) | なし |
| 質問ボックス | 展開後に表示 | 最初から開いた状態 |
| オーガニック結果 | 比較的上に見える | 大きく下へ押し下げられる |
実質的に、通常の検索結果画面がAIモードに近い見た目になります。Search Engine Landのバリー・シュワルツ氏は「AIモード型の体験が、通常のGoogle検索の中で提供されるようになった」と表現しています。
スクロール中はキャンセルされる
1点だけ、緩和策があります。ユーザーがすでに下へスクロールを始めている場合、自動展開はキャンセルされます。読んでいる位置がずれないようにするための挙動です。
Googleの説明
Googleの広報担当者は、Search Engine Landに対して次のようにコメントしています。
一部のクエリでは、システムが最も有用と判断したトピックについて、AI Overviewsが動的に展開されることがあります。
私たちの調査では、この動的な体験によってユーザーは検索をより有用だと感じ、フォローアップの探索により深く関与することが示されています。
Googleは公式ブログ等での発表を行っていません。取材に対してコメントした形です。また影響を受けるクエリの割合、今後の拡大予定については回答していません。
どんなクエリで起きるのか
明確な基準は公表されていません。報道で確認されているのは「アルゴリズム」のような情報収集型のクエリです。
参考になるのは、日本語検索でのAI Overview表示率の傾向です。33,201クエリの調査では、「〜とは」型で93.1%、FAQ型で84.1%、比較型で77.0%と報告されています(EXIDEA/2026年5月20日)。もともとAI要約が出やすい情報収集型のクエリで、全文表示も起きやすいと考えるのが自然でしょう。
ただしこれは推測です。Googleは基準を明かしていません。
サイト運営者への影響
影響は単純です。オーガニック検索結果が、画面のさらに下へ移動します。
1位を取っていても、ユーザーがそこまでスクロールしなければクリックされません。順位は変わっていないのにクリックだけが減るという現象が起こりえます。
もともとゼロクリックは増えていた
この変更は、既存の傾向を加速させるものです。AI要約が表示される検索では、以前からクリックが減っていました。
一方で、AI要約に引用されればCTRは上がります。53ブランド・547万クエリの調査では、AI回答に引用されたページのCTRは2.07%、引用されなかったページは0.94%と、約2.2倍の差がありました(Seer Interactive/2026年4月24日)。
全文表示になると、この差はさらに開く可能性があります。引用されているページは全文の中で露出しますが、引用されていないページは画面外に押し出されるためです。
いま確認すべきこと
1. 自社の主要クエリで、実際に全文表示されているかを見る(ログアウト状態で確認してください)
2. Search Consoleで、順位が横ばいなのにクリックだけ減っていないかを確認する
3. 生成AIパフォーマンスレポートで、AI機能内での表示回数を確認する
4. 該当クエリで、自社がAI要約の引用元に入っているかを確認する
2番が重要です。順位だけを成果指標にしていると、この変化を「施策が効いていない」と誤読します。順位・表示回数・クリック数の3つをセットで見てください。
順位計測ツールの数値にも注意
2026年8月には、Googleが検索結果のリンクを google.com/goto 経由に置き換える変更も本格展開しました。外部の順位計測ツールのデータが不安定になる可能性があります。
ツールとSearch Consoleの数値が食い違ったら、Search Consoleを信じてください。詳細は検索順位ツールが測れなくなる?で解説しています。
対策として現実的なこと
全文表示そのものを止めることはできません。できるのは、AI要約の中に自社が入る確率を上げることです。
| やること | 効果量 |
|---|---|
| 価格を具体的な金額で書く | オッズ比 >10,000 |
| 公開日・更新日を表示する | オッズ比 >10,000 |
| 仕様を数値で書く | 欠落は8.63〜243の不利 |
| 冒頭で質問に直接答える | — |
| レイアウトや文字数の調整 | 0.79〜1.68(ほぼ無効) |
出典は252,000試行・6つのLLMを用いた対照実験(SIGIR 2026採択論文/2026年5月)です。整形ではなく、具体的な事実を書くことが効きます。
あわせて、AIクローラーが到達できる状態かも確認してください。主要なAIクローラーはJavaScriptを実行しないため、JSで描画している本文は読まれません。手順はGEO対策とはにまとめています。
この変更の意味
Chris Long氏はX上で、この挙動を「GoogleがAIモードを既定の検索体験として押し進めている」と評しました。
実際、Googleは段階的にこの方向へ進んできました。AI Overviewsの導入、AIモードの提供、そして今回の全文表示。通常の検索結果とAIモードの境界が、少しずつ消えています。
Search Engine Landは「今後さらに拡大すると考えるのが自然だ」と書いています。これは一時的なテストではなく、方向性として捉えたほうがよいでしょう。
よくある質問
すべてのクエリで全文表示されますか
いいえ。一部のクエリのみです。Googleは対象の割合を公表しておらず、初期のテストでは挙動が断続的だという報告もあります。自社の主要クエリで実際に確認してください。
自社サイトで何か対応が必要ですか
この変更自体に対する技術的な対応はありません。できるのは、AI要約に引用される確率を上げることです。価格・仕様・更新日といった具体的な事実を書くことが、対照実験で効果が確認されています。
順位が下がったということですか
違います。順位は変わっていません。変わったのは、順位が表示される画面上の位置です。1位でも、AI要約の下に押し下げられます。Search Consoleの掲載順位には影響しません。
広告への影響はありますか
公開情報では、広告の表示位置への影響について明確な説明はありません。AI要約の周囲に広告が配置される設計は以前から進んでおり、今後の動向を確認する必要があります。
Googleは公式に発表したのですか
公式ブログでの発表はありません。取材に対して広報担当者がコメントした形です。仕様の詳細やロールアウトの範囲も公表されていません。
出典
- Search Engine Land「Google is dynamically expanding AI Overviews for some queries」(2026年8月28日)
https://searchengineland.com/google-is-dynamically-expanding-ai-overviews-for-some-queries-486200 - Search Engine Roundtable「Google Making AI Overviews Into AI Mode Responses」(2026年8月28日)
https://www.seroundtable.com/google-ai-overviews-push-ai-mode-responses-41974.html - 日本語AI Overview表示率:EXIDEA|日本語33,201クエリ(2026年5月20日)
- 引用時のCTR:Seer Interactive|53ブランド・547万クエリ(2026年4月24日)
- 対照実験(オッズ比):SIGIR 2026採択論文|252,000試行・6つのLLM(2026年5月)
※本記事は2026年9月2日時点の公開情報にもとづいています。Googleは本変更について公式ドキュメントを公開しておらず、対象クエリの割合やロールアウト範囲も公表されていません。挙動は変動する可能性があります。
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