「ホームページを改善したいが、上司や経営者にどう提案すればいいかわからない」——これはWeb担当者から最も多く寄せられる相談の一つです。ホームページ改善の予算を獲得するには、「なんとなく必要だから」ではなく「このままだと年間○○万円の売上を逃している。月額○万円の投資で○○万円の売上増が見込める」という数字に基づいた提案が不可欠です。この記事では、経営者を納得させる社内提案書のテンプレートと記入例を提供します。そのまま自社の状況に置き換えて使用してください。
この記事でわかること
社内提案書に含めるべき7項目 / 各項目の記入例 / 経営者が「YES」と言う提案のポイント / 現状分析データの集め方 / 機会損失の計算方法 / 小規模トライアルの提案方法
社内提案書に含めるべき7項目
| No. | 項目 | 内容 | 記入例 |
|---|---|---|---|
| 1 | 現状の課題 | HPの現状を数値で示す | 月間アクセス200PV、問い合わせ月1件、3年間更新なし |
| 2 | 機会損失の金額 | HP放置により失っている売上 | 年間推定機会損失1,200万円(後述の計算式で算出) |
| 3 | 競合比較 | 競合HPの現状との差 | 競合A社:推定月間5,000PV、ブログ50本、問い合わせ月15件 |
| 4 | 改善施策 | 具体的に何をするか | SEO記事月4本+MEO対策+フォーム改善+GEO対策 |
| 5 | 費用 | 月額・年額の投資額 | 月額15万円×12ヶ月=年間180万円 |
| 6 | 期待される成果 | アクセス・問い合わせ・売上の予測 | 12ヶ月後:月間3,000PV、問い合わせ月10件、成約月3件 |
| 7 | ROI予測 | 投資対効果の数値 | 年間売上貢献1,800万円÷投資180万円=ROI 900% |
機会損失の計算方法
経営者を最も動かすのは「今、失っているお金」の数字です。以下の計算式で自社の機会損失を算出してください。
機会損失の計算式
Step 1:業界平均のHP経由問い合わせ数を調査。同業種・同規模の企業がHP経由で月間何件の問い合わせを獲得しているかを推定。競合のHPをチェックするか、業界平均データ(月間3,000PV・CVR 1%=月間30件)を参考に。
Step 2:自社のHP経由問い合わせ数との差分を計算。業界平均が月10件で自社が月1件なら、差分は月9件。
Step 3:差分×成約率×顧客単価=月間機会損失額。月9件×成約率30%×顧客単価50万円=月間135万円の機会損失。年間1,620万円。
結論:「当社は毎年1,620万円の売上を、HPを放置することで逃しています」——この一文が経営者を動かす最強のフレーズです。
現状分析データの集め方
提案書に数字を入れるためには、自社HPの現状データが必要です。以下の3つのデータを収集してください。
1. アクセスデータ
GA4またはSearch Consoleで月間PV・クリック数・表示回数を確認。まだ導入していない場合はSearch Consoleの設定から始めてください。
2. 問い合わせデータ
過去12ヶ月のHP経由問い合わせ数を集計。フォーム送信数+電話(HP掲載番号宛)で算出。CRMがあればHP経由の成約数も。
3. 競合データ
競合のHPを目視確認。ページ数・ブログ記事数・更新頻度・MEOの口コミ数を把握。SimilarWeb(無料版)で推定アクセス数も確認可能。
提案書の記入例(A4・1枚版)
ホームページ改善のご提案
1. 現状の課題
当社HPの月間アクセスは200PV、問い合わせは月1件です。3年間コンテンツ更新がなく、スマホでの表示にも問題があります。Google検索で「○○市 ○○」と検索しても自社は2ページ目以降に表示される状態です。AI検索(ChatGPT・Gemini)に自社は一切表示されていません。
2. 機会損失の推定
競合A社は推定月間4,000PV、問い合わせ月12件を獲得しています。当社が同等のHP集客基盤を持っていれば、月間11件×成約率30%×顧客単価50万円=月間165万円、年間1,980万円の追加売上が見込めます。つまり当社はHP放置により年間約2,000万円の売上機会を逃しています。
3. 改善施策
①フォーム改善(即日・0円) ②MEO対策(月額1万円) ③SEO記事月4本(月額8万円) ④GEO対策(月額6万円) = 合計月額15万円
4. 期待される成果(12ヶ月後)
月間アクセス3,000PV、問い合わせ月10件、成約月3件。月間売上貢献150万円、年間1,800万円。
5. ROI
年間投資180万円 → 年間売上貢献1,800万円 → ROI 900%。投資回収期間は約8ヶ月。
6. ご提案
まず月額5万円×3ヶ月のトライアル(計15万円)で効果を検証します。成果が確認できた段階で月額15万円の本格投資への移行をご検討ください。トライアルで成果が出なければ中止可能です。
上記はA4・1枚にまとめた提案書の記入例です。このフォーマットに自社の数値を当てはめるだけで、経営者に提出できる提案書が完成します。ポイントは「機会損失額」と「ROI」の2つの数字を目立たせることです。この2つの数字が明確であれば、経営者は「やらないほうが損だ」と判断します。
経営者が「YES」と言う提案のポイント
提案成功の5か条
1. 機会損失から始める:「○○円投資したい」ではなく「今○○円を逃しています」から入る。経営者は「新しい出費」には慎重だが「失っているお金」には敏感。
2. 競合の動きを示す:「競合A社はHP経由で月○件の問い合わせを獲得しています」。競合に負けている事実は経営者の危機感を刺激する。
3. ROIで語る:「月額10万円の投資で年間ROI 900%が見込めます」。感覚ではなく数字で費用対効果を示す。ROI計算方法で算出。
4. 小さく始める提案:「まず月額5万円×3ヶ月のトライアルを提案します。成果が出たら本格投資に移行。成果が出なければ中止可能」。リスクの低い提案は承認されやすい。
5. A4で1枚にまとめる:経営者は長い資料を読まない。課題・機会損失・施策・費用・ROIをA4で1枚にまとめる。詳細データは別紙として添付。
小規模トライアルの提案方法
最初から月額20万円の予算を提案しても通りにくい場合は、「3ヶ月×5万円=15万円のトライアル」を提案してください。15万円であれば多くの中小企業で決裁者1名(経営者)の判断で承認可能です。
3ヶ月トライアルの施策例(月額5万円)
月1:Search Console登録+Googleビジネスプロフィール最適化+フォーム改善(CVR施策)。費用0〜1万円。残り4万円で基礎SEO記事2本。
月2:SEO記事2本制作+MEO対策(口コミ依頼開始)。累計SEO記事4本。
月3:SEO記事2本制作+成果レポート作成。累計6本。3ヶ月でアクセス・問い合わせの変化を数値で確認し、本格投資の判断材料を経営者に提出。
トライアルで「月額5万円の投資で問い合わせが月1件→3件に増えた」という実績が出れば、「月額15万円に増額して月10件を目指しましょう」という次の提案が格段に通りやすくなります。データに基づいた段階的な投資拡大が、社内提案を成功させる最も確実な方法です。
よくある質問
提案書はWordで作るべきですか
A4で1枚のPDFが最も効果的です。PowerPointの10枚スライドより、数字が凝縮された1枚のPDFのほうが経営者は読みます。詳細な計算根拠やデータは別紙として添付してください。
アクセスデータがまだない場合はどうしますか
Search Consoleを登録すれば2〜3日でデータが取得できます。まだ未登録の場合は、Search Consoleの登録を「提案の第一歩」として経営者に提案してください。「まず無料ツールを入れて現状を把握しましょう」という提案は、費用がゼロのため承認されやすいです。
競合のアクセス数を調べる方法は
SimilarWeb(無料版)で競合サイトのURLを入力すると、推定月間訪問者数がわかります。正確な数値ではありませんが、自社との比較には十分使えます。競合のHPのページ数・ブログ記事数は手動でカウントしてください。
経営者がITに疎い場合のコツは
SEO・GEO・CVR等の専門用語は使わず、「Google検索で上に表示されるための対策」「AIに自社を紹介してもらうための対策」「問い合わせが来やすくなるフォーム改善」のように平易な日本語で説明してください。最終的に経営者が判断するのは「この投資は儲かるか」の一点なので、ROIの数字さえ明確であれば専門用語は不要です。
提案が却下された場合はどうすればいいですか
却下の理由を確認してください。「予算がない」なら月額3万円のさらに小規模なトライアルを提案。「効果が信じられない」なら同業種の成功事例(この記事のリンク先の各業種記事)を提示。「今は忙しい」なら3ヶ月後に再提案。一度の却下で諦めず、データを蓄積して再チャレンジしてください。
まとめ
社内提案書の成功は「機会損失の数値化→競合比較→施策と費用→ROI予測」の4つの要素を数字で示すことに尽きます。「HPを放置することで年間○○万円を失っている」という事実と、「月額○万円の投資でROI ○○%が見込める」という予測——この2つの数字が揃えば、経営者は必ず耳を傾けます。まず月額5万円×3ヶ月のトライアルから始め、データで成果を実証してから本格投資に移行してください。
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