ChatGPTが公式サイトを直接見に行くようになった|GPT-5.6とsite:検索

ChatGPTが公式サイトを直接見に行くようになった|GPT-5.6とsite:検索

齊藤一樹
この記事を書いた人 齊藤一樹 代表取締役/Webマーケター

結論

ChatGPTがモデル更新のたびに「site:コマンドで企業の公式サイト内を直接探す」比率を大きく変えています。GPT-5.4で40.5%、5.5で12.6%まで落ち、GPT-5.6では59〜90%へ戻りました。いま効くのは「自社サイトが site:自社ドメイン で検索可能な状態か」です。ただしこの比率は5か月で3回反転しています。片方に賭ける設計は危険です。

SEOのGoogleコアアップデートで順位が入れ替わるように、LLMOもモデル更新のたびに「勝ち方」が変わる段階に入りました。

GPT-5.6の登場後、AIの参照傾向が大きく変わったという指摘が国内外で出ています。本記事では複数の独立した計測データを突き合わせ、何が起きているのか、何をすべきかを整理します。

何が起きているのか|site:コマンドの使用率

ChatGPTは質問を受けると、内部で複数の検索(ファンアウトクエリ)に分解します。そのとき「site:ドメイン名」で特定サイト内に絞って検索することがあります。

この使用率が、モデル更新のたびに乱高下しています。

モデル site:の使用率 計測元
GPT-5.4 40.5% Writesonic
GPT-5.5 12.6% 同上(3.2分の1に)
GPT-5.6 Sol(Medium) 59% Writesonic
GPT-5.6 Sol(High) 71% 同上
GPT-5.6 約90% DecaGEO(別計測)

5か月で3回、方向が反転しています。40% → 12.6% → 59〜90%という動きです。

数値に幅があるのは、計測主体と条件が異なるためです。WritesonicとDecaGEOは別々のログを見ており、数字は一致しません。ただし「GPT-5.6でsite:の使用が大幅に増えた」という方向は一致しています。

これが意味すること

site:コマンドが使われるということは、AIが「この会社の公式サイトの中を直接見に行く」という動きです。

site:が少ないとき(GPT-5.5期)
AIは比較サイトや第三者メディアの記事を経由して企業情報を集める。外部での言及が重要

site:が多いとき(GPT-5.6期)
AIが公式サイトを直接読みに行く。自社サイトに答えが書いてあるかが重要

実際、ブランド公式サイトの引用率も連動して動いています。GPT-5.4では56.8%、5.5では47.2%と約10ポイント下がり、GPT-5.6 Sol(Medium)では58.1%へ戻りました。

DecaGEOの計測では、引用のうち「同じ回答内でsite:検索によって到達したもの」の割合が25.7%から87.7%へ跳ね上がったと報告されています。到達経路が変わったという指摘です。

いま優先すべきこと

site:が多用される状況では、確認すべき点が明確です。

1. site:自社ドメイン で自社ページが出るか

まずGoogleとBingで site:自社ドメイン.co.jp 料金 のように検索し、該当ページが出てくるかを確認してください。出てこなければ、AIがsite:検索をしても見つけられません。

インデックスされていない、noindexが付いている、JavaScriptで描画している——このいずれかが原因になります。

2. Bingにインデックスされているか

ChatGPTのウェブ検索はBingのインデックスを使います。Googleでインデックスされていても、Bingに登録されていなければChatGPTからは見えません。

Bing Webmaster Toolsにサイトマップを送信し、カバレッジを確認してください。工数が小さいわりに効果が大きい割に、実施していない企業が多い項目です。

3. 答えが公式サイトに書いてあるか

site:検索で狙われやすいのは、料金・仕様・機能・対応範囲といった一次情報です。AIは「この会社の料金はいくらか」を公式サイトで確認しようとします。

ここが「お問い合わせください」だけになっていると、AIは答えを持ち帰れません。具体的な金額と数値を書いてください。対照実験でも、価格の記載はオッズ比10,000超という効果が確認されています(SIGIR 2026採択論文/252,000試行)。

4. JavaScriptなしで読めるか

主要なAIクローラーはJavaScriptを実行しません。料金表や仕様表がJSで描画されていると、site:検索で到達しても中身が読めません。ブラウザのJSを切って確認してください。

ただし、これに賭けてはいけません

ここが本記事で最も伝えたい点です。

site:の使用率は5か月で3回反転しました。GPT-5.5期に「公式サイト重視」へ全振りした企業は、次の更新で梯子を外されています。逆もまた起こりえます。

単一バージョンへの最適化は構造的にリスクがある

DecaGEO自身も「このダイヤルは以前にも反転している。この体制自体が謙虚さを要求する」と書いています。いまのGPT-5.6に合わせて設計を組み替えると、次の更新で同じことを繰り返します。

現実的な結論は「両方やる」です。公式サイトに一次情報を厚く置き、同時に第三者メディアでの言及も維持する。どちらに振れても対応できる構成にしておくことです。

変動の大きさを示すもう1つのデータ

SISTRIXは、GPT-5.5がChatGPTの既定モデルになった日(2026年5月22〜23日)に、引用の変動率が通常の1〜2%から47%へ跳ね上がったと報告しています。同社はこれを「ChatGPTコアアップデート」と呼びました。

Googleのコアアップデートと同じ規模の変動が、モデル更新のたびに起こりうるということです。

Google順位との関係は、さらに薄まっている

あわせて押さえておくべき数字があります。

指標 数値
GPT-5.6が引用したドメインのうち、同じクエリでGoogle上位10位に入っていない割合 88〜89%
オーガニック順位とChatGPT引用の相関 0.23(別計測では0.034)

Google順位が高いことは、ChatGPTに引用されることをほとんど保証しません。SEOとGEOは別の作業だという前提を、あらためて確認しておく必要があります。

計測についての注意

本記事で引用した数値は、いずれもツールベンダーによる計測です。測定条件・サンプル規模・期間が各社で異なり、数字は一致しません。

実際、GPT-5.6のsite:使用率はWritesonicが59〜71%、DecaGEOが約90%と大きく開いています。どちらが正しいかではなく、両方を「方向性の参考」として読むのが適切です。

自社で計測する場合も、1回の実行では判断できません。1プロンプトを1回だけ実行した計測は標準誤差0.370で、統計的にほぼ情報量がありません。設計方法はAI引用の計測は何問×何回?にまとめています。

今週やること

☐ site:自社ドメイン 料金 をGoogleとBingで検索し、該当ページが出るか確認

☐ Bing Webmaster Toolsにサイトマップを送信済みか確認

☐ 料金・仕様ページに具体的な数値が書かれているか確認

☐ JavaScriptを切って、料金表・仕様表が読めるか確認

☐ 第三者メディアでの言及も並行して維持する(次の反転に備える)

よくある質問

site:コマンドに最適化する方法はありますか

特別なテクニックはありません。自社サイトが正しくインデックスされ、答えがテキストで書かれていることが条件のすべてです。インデックス、クロール可能性、プレーンなHTMLでの記述——この3点が土台になります。

第三者メディアへの掲載はもう不要ですか

不要ではありません。site:の使用率は反転を繰り返しており、次の更新でまた下がる可能性があります。公式サイトと第三者言及の両方を維持する構成が、変動に強い設計です。

Googleで上位なら大丈夫ですか

大丈夫ではありません。GPT-5.6が引用したドメインの88〜89%は、同じクエリでGoogle上位10位に入っていないと報告されています。SEOとGEOは別の作業として扱ってください。

モデル更新のたびに対応が必要ですか

そのつど設計を組み替えるのは推奨しません。変動に耐える構成を作るほうが現実的です。公式サイトの一次情報を厚くし、第三者での言及も維持し、計測は反復回数を確保する。この3点はどのモデルでも有効です。

日本語でも同じ傾向ですか

本記事で引用した調査は、いずれも英語圏のデータです。日本語での挙動が同じかは確認されていません。日本語での計測は、日本語のプロンプトで自社が実測するのが確実です。英語のみの監査は国内ブランドを過小評価するという研究もあります。

出典

※本記事は2026年9月3日時点の公開情報にもとづいています。引用した数値はいずれもツールベンダーによる計測で、測定条件・サンプル規模・期間が各社で異なります。OpenAIによる公式の説明ではありません。挙動はモデル更新により変動します。

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この記事を書いた人
齊藤一樹
齊藤一樹 代表取締役/Webマーケター

株式会社仁頼 代表取締役。横浜市在住。 2018年からデジタルマーケティング業界に携わり、Google広告・SEO・コンテンツマーケティングを中心に8年以上の実務経験を持つ。これまでに制作した記事は9,000本以上、70名を超える専門ライターとのチーム体制で、幅広い業界のWebマーケティングを支援してきた。 2022年9月に株式会社仁頼を設立。「受けた御恩を忘れず、信頼を得られるよう迅速かつ最適な対応をする」という信念のもと、SEO・広告運用・サイト制作などのマーケティング支援を行っている。 近年は、ChatGPTやPerplexityなどのAI検索でサイトが引用される「GEO(生成エンジン最適化)」の分野にいち早く注力。自社サービス「GEO Hack」を通じて、AI時代の新しい集客手法を企業に提供している。 「難しいことをわかりやすく、小さな会社にも大きな成果を」をモットーに、日々クライアントと伴走中。

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