Chrome 156で脆弱性353件を修正|今すぐ更新する方法

Chrome 156で脆弱性353件を修正|今すぐ更新する方法

齊藤一樹
この記事を書いた人 齊藤一樹 代表取締役/Webマーケター

結論

Googleは2026年10月20日(米国時間)、パソコン版のChrome 156を公開し、脆弱性353件を修正しました。うち6件は、Webページを開くだけでパソコンに被害が及ぶおそれがある最も深刻な「Critical」です。Chromeは自動で更新されますが、ブラウザを再起動するまで修正は反映されません。メニューの「ヘルプ」→「Google Chromeについて」を開き、バージョンが156.0.8078.47以降になっているかを確かめてください。2026年10月22日昼(日本時間)時点で、実際に悪用されたという発表はありません。

更新情報(2026年10月22日17時)

  • 17時の時点でも、Googleの発表に実際に悪用されたという記載はなく、JPCERT/CCの注意喚起も出ていません。
  • Microsoft Edgeは、17時の時点でもChrome 156の修正を取り込んだ版を公開していません(10月20日付で「準備中」)。
  • Vivaldiは10月17日に安定版を更新し、Chrome 155までのセキュリティ修正を取り込みました。Chromium 156をもとにした版は、まだ試験版です。下の「ほかのブラウザの対応状況」の表を更新しています。

Chrome(クローム)は、Googleが提供するWebブラウザです。国内でも利用者が最も多いブラウザの一つで、会社のパソコンでも、メールや業務システム、Webサイトの管理画面を開くのに毎日使われています。

ブラウザは、インターネット上のあらゆるページを読み込む「入口」です。そのため、ブラウザに弱点が残っていると、細工されたページを開いただけで被害につながることがあります。この記事では、10月20日に出たChrome 156の更新の中身と、自分や会社のパソコンで何を確認すればよいかを説明します。情報は2026年10月22日昼(日本時間)時点のものです。

Chrome 156の更新の内容

項目 内容
公開日 2026年10月20日(米国時間)
対象 パソコン版のChrome(Windows・Mac・Linux)
修正後のバージョン Windows・Mac:156.0.8078.47 または .48
Linux:156.0.8078.47
修正された脆弱性 353件(Critical 6件、High 61件、残りはMedium・Low)
悪用の状況 公式発表に、実際に悪用されたという記載はなし
配信のしかた 数日から数週間かけて順次配信(自動更新)

件数はGoogleの公式発表「Stable Channel Update for Desktop」によるものです。深刻度の内訳は、発表に並んだ一覧を数えたものです。

「Critical」はどのくらい深刻か

Chromeの脆弱性は、深刻な順にCritical・High・Medium・Lowの4段階で評価されます。Chromeの基準では、Criticalは、ふつうにWebページを見ているだけで、攻撃者がパソコン上でプログラムを動かせるおそれがある問題です。Highは、ブラウザの中の守られた領域(サンドボックス)では攻撃者のプログラムが動いてしまうなど、それに次ぐ深刻さの問題です(Chromium「Severity Guidelines for Security Issues」)。

CVE番号 どこの問題か 報告者 報告日
CVE-2026-113341 Skia(文字や図形を描く部品)のメモリ破損 Google 10/3
CVE-2026-113279 アクセシビリティ(読み上げなどの支援機能)のメモリ破損 Xinyang Ge 10/5
CVE-2026-113072 CSS(ページの見た目を決める仕組み)のメモリ破損 Xinyang Ge 10/6
CVE-2026-113280 Paint(画面を描く処理)のメモリ破損 Xinyang Ge 10/6
CVE-2026-113271 アクセシビリティの解放済みメモリの使用 Xinyang Ge(Anthropic、Claudeの支援) 10/8
CVE-2026-113303 WebRTC(ビデオ通話などの仕組み)のメモリ破損 OpenAI Codex Security 10/15

「メモリ破損」や「解放済みメモリの使用」は、ブラウザが作業用の記憶領域を正しく扱えなくなる不具合です。攻撃者はこれを足がかりに、ブラウザを止めたり、自分のプログラムを動かしたりしようとします。High 61件のうち最も多いのは、画面の描画を担うANGLE(グラフィックス処理の部品)の問題で、ほかにJavaScriptを動かすV8や、パスワード管理、PDFの表示などの問題も含まれています。

いつもより件数が多い理由

今回の353件は、1回の更新としては大きな数です。2週間前の10月6日に出たChrome 155でも247件(Critical 4件)が修正されていました(Malwarebytes、2026年10月7日)。件数が増えている背景には、2つの変化があります。

1. Chromeが2週間ごとに新しい版を出すようになった

Chromeは2026年9月8日のChrome 153から、新しいバージョンを出す間隔を4週間から2週間に縮めました(Chrome for Developers、2026年3月3日)。そのあいだにも、セキュリティの修正は週1回程度のペースで出ています。10月だけでも、次のように更新が続きました。

日付(米国時間) 更新 修正件数
10月6日 Chrome 155(新しい版) 247件(Critical 4件)
10月13日 Chrome 155のセキュリティ更新(155.0.8059.79/.80) 37件(Critical 7件)
10月15日 Chrome 155のセキュリティ更新(155.0.8059.84/.85) 10件(Critical 1件)
10月20日 Chrome 156(新しい版) 353件(Critical 6件)

10月13日と15日の件数は窓の杜(2026年10月16日)によります。2週間に1回、新しい版が出るうえに、その間にも修正が入るため、Chromeを開きっぱなしにして再起動しない使い方では、修正が反映されないまま何週間も過ぎてしまうことがあります。

2. AIを使った脆弱性探しが広がった

今回のCritical 6件のうち2件は、報告者の欄にAnthropicのClaudeの支援や、OpenAIのCodex Securityの名前があります。AIを使って脆弱性を探す取り組みが広がり、見つかる件数が増えていると報じられています(SecurityWeek、2026年5月21日)。見つかって直される件数が増えるのは良いことですが、同じ技術は攻撃する側も使えます。国内の不正アクセス事例のまとめでも紹介したとおり、JPCERT/CCは攻撃者がAIを使って弱点を探していたことを確認しています。修正が出たら早く入れることが、これまで以上に大切になっています。

パソコンのChromeを最新にする手順

手順1:バージョンを確かめる

Chromeの右上にある「︙」(縦の3つの点)をクリックし、「ヘルプ」→「Google Chromeについて」を開きます。アドレスバーにchrome://settings/helpと入力しても同じ画面が開きます。表示されたバージョンが156.0.8078.47以降であれば、今回の修正は入っています。

手順2:更新を入れて再起動する

「Google Chromeについて」を開くと、Chromeが自動で更新を確認し、新しい版があればダウンロードを始めます。終わると「再起動」ボタンが出るので、押して再起動します。開いていたタブは、再起動後にほぼそのまま戻ります。右上に「更新」や「新しいバージョンが利用可能です」と表示されている場合も、同じく再起動が必要です。

手順3:更新が出てこない場合

Googleは、今回の更新を数日から数週間かけて順次配信するとしています。「Google Chromeについて」を開いても156が出てこない場合は、少し時間をおいてから、もう一度開いてみてください。古いWindowsやmacOSでは、新しい版を受け取れないことがあります。その場合は、OSの更新か、パソコンの入れ替えを検討してください。

スマートフォン・タブレットの場合

AndroidではGoogle Play、iPhone・iPadではApp Storeで、Chromeのアプリを更新してください。スマートフォン版にも、Chrome 156が順次配信されています。

Edgeなど、ほかのブラウザの対応状況

Microsoft Edge(エッジ)、Brave(ブレイブ)、Vivaldi(ヴィヴァルディ)、Operaなどは、Chromeと同じ「Chromium(クロミウム)」という土台で作られています。Chromiumの脆弱性は、これらのブラウザにも共通します。各社がChromiumの修正を取り込んだ版を出すまでは、更新を待つ必要があります。

ブラウザ 2026年10月22日17時(日本時間)時点の状況
Microsoft Edge 10月20日付で「最近のChromiumのセキュリティ修正を把握しており、修正版の公開に向けて作業中」と公表。最新の安定版は155.0.4283.62(10月16日)。17時時点でも修正版は未公開
Brave 公式サイトに載っている最新版は1.97.57(10月14日、Chromium 155ベース)
Vivaldi 安定版8.2は、Chromiumの延長安定版(152)をもとに10月17日に更新され、Chrome 155までのセキュリティ修正を取り込み済み。Chromium 156をもとにした版は、10月19日時点で試験版(スナップショット)
Operaなど 各社の更新のお知らせを確認

Edgeの状況は、Microsoftの「Release notes for Microsoft Edge Security Updates」で確認できます。Edgeの更新方法はChromeとほぼ同じで、右上の「…」→「ヘルプとフィードバック」→「Microsoft Edgeについて」を開くと、更新の確認と再起動ができます。

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会社でまとめて管理している場合

社員のパソコンのChromeを、Google管理コンソールやWindowsのグループポリシーで管理している会社もあります。その場合は、次の点を確認してください。

  • 自動更新を止める設定や、特定のバージョンに固定する設定が残っていないか
  • 更新後に再起動を促す設定(一定時間後に再起動を求める通知)が有効になっているか
  • 企業向けの「延長安定版(Extended Stable)」を使っている場合、どのバージョンに更新されているか

延長安定版は、2週間ごとの更新に追いつけない企業向けの選択肢で、同じバージョンを約8週間使い続けながら、セキュリティ修正を受け取ります。Windows・Mac向けの最新は、10月15日に出た152.0.7977.169です。ただしGoogleは、修正は「可能な範囲で」移植するとしており、最も安全なのは2週間ごとの通常の安定版だと説明しています(Google「Extended Stable channel」)。

IT担当者がいない会社では、「ブラウザは毎週金曜の終業時に一度閉じる」といった簡単なルールを決めるだけでも、修正の反映がぐっと早くなります。

Webサイトの運営者が知っておきたい変更

Chrome 156では、セキュリティ修正のほかに、Webサイトの作りに関わる変更もいくつか入っています(Chrome Platform Status「Chrome 156 release notes」)。一般的な会社のホームページで、対応が必要になる変更は見当たりません。広告配信の仕組みや、凝った画面の動きを作り込んでいるサイトは、念のため確認しておくと安心です。

変更 影響を受けるサイト
広告向けの機能「Fenced Frames」が、呼び出しても動かない状態に(157から順次削除) この機能を使う広告配信の仕組みを入れているサイト
IndexedDB(ブラウザ内にデータを保存する仕組み)の保存方式をSQLiteに変更 Web APIの変更はなく、既存のデータもそのまま
CSSの新しい指定(スクロール位置の吸着、乱数の生成など)が使えるように 新しい表現を取り入れたいサイト

同じ週に重なった、ほかの重要な更新

2026年10月20日前後は、Webで広く使われる仕組みの重要な更新が重なりました。Webサイトや社内のシステムで使っているものがないか、あわせて確認してください。

仕組み 内容 主に影響するもの
PHP 重大な脆弱性2件(CVSS 9.2)の修正版を公開 WordPressなどのWebサイト
Node.js 脆弱性10件の修正 Next.jsのサイト、API、開発環境
Oracle Java 定例の55件に加え、証明書の問題で緊急アラート 業務システム、パソコンのJava
Chrome Chrome 156で353件を修正 社員のパソコン、スマートフォン

いま確認すべきこと

  • 自分のChromeのバージョンが156.0.8078.47以降になっているか、「Google Chromeについて」で確かめた
  • 更新後にChromeを再起動した
  • スマートフォンのChromeを、Google PlayまたはApp Storeで更新した
  • Edgeなどほかのブラウザも使っている場合は、修正版が出たら更新する
  • 社員のパソコンについて、ブラウザを定期的に再起動するよう周知した
  • 会社でChromeを管理している場合は、自動更新が止まっていないかを確認した

よくある質問

Chromeは自動で更新されるのに、何かする必要はありますか?

Chromeは更新を自動でダウンロードしますが、ブラウザを再起動するまで修正は反映されません。開きっぱなしにしている場合は、「Google Chromeについて」を開いて、表示される「再起動」ボタンを押してください。

どのバージョンなら安全ですか?

パソコン版では、Windows・Macは156.0.8078.47または.48、Linuxは156.0.8078.47以降で、今回の353件の修正が入っています。今後も週1回程度のペースで新しい修正が出るため、常に最新にしておくことが大切です。

今回の脆弱性はすでに悪用されていますか?

2026年10月22日昼(日本時間)時点で、Googleの発表に、実際に悪用されたという記載はありません。ただし、修正の内容が公開されると、それを手がかりに攻撃が作られることがあります。早めに更新してください。

Edgeを使っています。Chromeの更新は関係ありますか?

EdgeはChromeと同じChromiumを土台にしているため、同じ脆弱性の影響を受けます。Microsoftは10月20日付で修正版の準備中と公表しています。修正版が出たら、「Microsoft Edgeについて」から更新して再起動してください。

なぜこんなに修正の件数が多いのですか?

Chromeが2026年9月から2週間ごとに新しい版を出すようになったことと、AIを使った脆弱性探しが広がり、見つかる件数が増えていることが背景にあります。件数が多いこと自体より、修正を早く入れることが大切です。

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出典

※本記事は2026年10月22日昼(日本時間)時点の公開情報にもとづき、同日17時に各ブラウザの対応状況を追記しました。修正版の番号や各ブラウザの配布状況は、今後変わる可能性があります。最新の情報は各社の発表でご確認ください。

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この記事を書いた人
齊藤一樹
齊藤一樹 代表取締役/Webマーケター

株式会社仁頼 代表取締役。横浜市在住。 2018年からデジタルマーケティング業界に携わり、Google広告・SEO・コンテンツマーケティングを中心に8年以上の実務経験を持つ。これまでに制作した記事は9,000本以上、70名を超える専門ライターとのチーム体制で、幅広い業界のWebマーケティングを支援してきた。 2022年9月に株式会社仁頼を設立。「受けた御恩を忘れず、信頼を得られるよう迅速かつ最適な対応をする」という信念のもと、SEO・広告運用・サイト制作などのマーケティング支援を行っている。 近年は、ChatGPTやPerplexityなどのAI検索でサイトが引用される「GEO(生成エンジン最適化)」の分野にいち早く注力。自社サービス「GEO Hack」を通じて、AI時代の新しい集客手法を企業に提供している。 「難しいことをわかりやすく、小さな会社にも大きな成果を」をモットーに、日々クライアントと伴走中。

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