Gemini 4 Carbonは本当に世界一?17項目と第三者評価で比較

Gemini 4 Carbonは本当に世界一?17項目と第三者評価で比較

齊藤一樹
この記事を書いた人 齊藤一樹 代表取締役/Webマーケター

結論

Gemini 4 Carbonは、Googleが公表した17項目の比較表で15項目が首位、第三者機関Artificial Analysisの総合指標でも59点で1位です。ただし2位のClaude Opus 5.5(58点)、3位のGPT-6 Astra(57点)との差は1〜2点で、コーディングをAIに任せる評価ではClaude Opus 5.5、金融・法務などの実務評価ではClaude Sonnet 5.5が上でした。分からない問いに誤って答える割合は前のモデルより増えています。比較表は「誰が測ったか」「どの設定か」「どのモデルが載っていないか」を確かめて読み、最後は自社の業務で試して選ぶのが確実です。

Googleが2026年10月28日(米国時間)に発表したGemini 4 Carbonは、国内でも「世界一高性能なAI」と報じられました。発表の全体像はGemini 4 Carbonの概要の記事にまとめています。

この記事では、Googleが出した比較表と、第三者の評価機関の結果を分けて並べ、どこで勝ち、どこで負けているのかを整理します。比べる相手は、OpenAIのGPT-6 Astra、AnthropicのClaude Opus 5.5・Claude Fable 5.1・Claude Sonnet 5.5です。

Googleが公表した比較表(17項目)

Google DeepMindのモデル紹介ページに載っている表です。各行で最も高い値を太字にしました。「未掲載」は、Googleの表に値がないものです。

分野 評価 Gemini 4 Carbon Gemini 4 Argon GPT-6 Astra Claude Opus 5.5 Claude Fable 5.1
総合 AA Index v5.0 59 50 57 58 49
金融・法務などの実務 Vals Index v2.2 70.4% 69.2% 65.0% 70.2% 未掲載
コーディング SWE-sweep 9.6% 4.3% 9.5% 3.6% 2.9%
コーディング FrontierSWE 2 61.2% 55.0% 65.5% 62.3% 56.3%
コーディング Terminal-Bench 4.0(AA) 65.2% 57.1% 59.1% 59.6% 52.0%
パソコン操作 Agents’ Last Exam v1.1 77.4% 69.0% 73.1% 71.6% 未掲載
パソコン操作 OSWorld-2.1(オフライン) 81.5% 74.7% 80.9% 87.2% 76.8%
業務の自動化 AutomationBench(Zapier) 53.9% 51.3% 41.4% 42.5% 31.4%
業務の自動化 Vending-Bench 2(残高) 16,484ドル 13,718ドル 15,515ドル 9,235ドル 5,422ドル
画像・図の理解 Chartography 72.5% 71.6% 71.0% 66.3% 46.2%
画像・図の理解 Blueprint-Bench 2 58.6% 54.4% 49.7% 51.2% 41.9%
長い文章 GraphWalks(25.6万〜100万トークン) 96.2% 84.2% 71.8% 66.8% 65.0%
科学・数学 RiemannBench 80.0% 76.0% 72.0% 69.6% 65.6%
科学・数学 Terminal-Bench-Science 0.1(AA) 64.8% 52.9% 63.3% 59.0% 43.3%
サイバーセキュリティ CWE-bench(修正) 71.0% 68.0% 68.0% 67.0% 58.0%
サイバーセキュリティ ExploitGym(悪用の検証) 54.8% 42.0% 42.4% 34.5% 未掲載
サイバーセキュリティ SEC-bench Pro(発見) 88.2% 83.4% 85.4% 未掲載 未掲載

出典:Google DeepMind。Carbonが首位でないのは、FrontierSWE 2(GPT-6 Astraが65.5%)とOSWorld-2.1(Claude Opus 5.5が87.2%)の2項目です。FrontierSWE 2ではClaude Opus 5.5(62.3%)もCarbon(61.2%)を上回っています。

この表を読むときの5つの注意

Googleは評価方法の資料も公開しています(Google DeepMindの評価方法)。読むと、表の数字は同じ条件で測ったものではないことが分かります。

注意すること この表での中身
誰が測ったか 他社のモデルの数値は、原則として各社が公表した値。第三者の数値(Artificial Analysis、Vals AIなど)を使った行もある
どの設定で測ったか Geminiは「最も深く考える設定」、他社も「最大の設定」が基本。OSWorld-2.1のCarbonとArgonは3回測って最も高い値を採用
安全のための制限 サイバーセキュリティの外部評価は制限を外した状態で測定。一般に提供される版で同じ点が出るとは限らない
表に載っていないモデル Vals Index v2.2で1位のClaude Sonnet 5.5(70.85%)は、表に含まれていない
第三者の数値との食い違い Terminal-Bench 4.0は、表ではCarbonが首位だが、Artificial Analysisの記事ではClaude Opus 5.5(max)が上で、Carbonは64%の2位。測った時期や設定の違いとみられる

比較表は、発表する会社が「どの評価を、どのモデルと並べるか」を選んで作ります。うそではなくても、自社に有利な見せ方になりやすいことは前提にしておくべきです。以前のGemini 3.8 Flashの比較表の記事でも、同じ読み方を紹介しました。

第三者の評価ではどうか

評価(評価機関) 1位 Carbonの結果
総合指標(Artificial Analysis) Gemini 4 Carbon 59点 1位。Claude Opus 5.5 58点、GPT-6 Astra 57点、Argon 50点
AIにコーディングを任せる評価(同) Claude Opus 5.5(Claude Code)62点 2位:59点(Antigravity CLI)
Terminal-Bench 4.0(同) Claude Opus 5.5(max) 2位:64%
FrontierCode v1.1(同) Claude Opus 5.5(max)56% 2位:51%
知識の正確さ AA-Omniscience(同) Gemini 4 Carbon 54点 1位。Claude Opus 5.5 48点、Argon 46点
資料づくりなどの実務 AA-Briefcase(同) Kimi K3.1 Pro 1,678点 1,609点。上位にKimi K3.1 Pro・Muse Wonder・Grok 4.7
金融・法務などの実務 Vals Index v2.2(Vals AI) Claude Sonnet 5.5 70.85% 2位:70.36%。Claude Opus 5.5 70.18%、Argon 69.24%
人の投票による文章の評価(Arena) Gemini 4 Carbon 1,528点 1位
人の投票によるAIエージェントの評価(Arena) Claude Opus 5.5(Max) 2位
人の投票によるWeb開発の評価(WebDev Arena) 未掲載 4位:1,768点。Claude Sonnet 5.5(xHigh)は1,770点

Artificial Analysisの値は同社の記事、Vals AIとArenaの値はThe Decoderによります。総合指標は10月27日に改定されたv5.0で、9つの評価を組み合わせています。旧版の点数とは比べられません(Artificial Analysis)。

まとめると、Carbonは知識・科学・業務の自動化・長い文章に強く、コーディングをAIに任せる作業ではClaude Opus 5.5が先行しています。Artificial Analysisも、Googleがこの分野で以前から振るわなかったと指摘しています。

正確さ|正答率は上がり、誤って答える割合も上がった

Artificial Analysisの知識テスト「AA-Omniscience」では、Carbonの正答率は58%で、前のモデルのArgon(48%)から10ポイント上がりました。一方で、ハルシネーション率は4%から11%に増えています。

モデル 総合点(AA-Omniscience) ハルシネーション率
Gemini 4 Carbon 54 11%
Gemini 4 Argon 46 4%
Claude Opus 5.5 48 50%
GPT-6 Astra 未掲載 50%

ここでいうハルシネーション率は、正しく答えられなかった問題のうち、「分からない」と言わずに誤った答えを返した割合です。総合点は、正解を加点、誤答を減点、答えを控えた場合は0点として計算します(Artificial Analysis)。Carbonは他社のモデルより低い水準ですが、Argonよりは「知らないことを答えてしまう」傾向が強くなりました。社名や料金のように正確さが大事な情報では、AIの答えをそのまま使わない運用が必要です。

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費用|単価ではなく「1つの作業あたり」で比べる

モデル 入力(100万トークン) 出力(100万トークン) AAの評価1問あたりの費用
Gemini 4 Carbon 4ドル(導入価格2ドル) 20ドル(導入価格10ドル) 7.76ドル
Gemini 4 Argon 4ドル(11月30日までは2ドル) 20ドル(同10ドル) 7.68ドル
GPT-6 Astra 10ドル 50ドル 6.25ドル
Claude Opus 5.5 4ドル 20ドル 10.04ドル
Claude Sonnet 5.5 2ドル 10ドル 未掲載
Claude Fable 5.1 10ドル 50ドル 未掲載

料金は各社の公式ページ(Google・OpenAI・Anthropic)、評価1問あたりの費用はArtificial Analysisの試算(通常価格で計算)によります。

GPT-6 Astraは単価が最も高い部類ですが、答えを出すまでに使う量が少ないため、1問あたりでは最も安い結果でした。Carbonは1問あたりの出力が12.3万トークンで、Claude Opus 5.5(17.3万トークン)より29%少なく、費用も約23%安くなっています。なお、通常価格どうしではCarbonとClaude Opus 5.5の単価は同じです。「半額」と言えるのはCarbonの導入価格の期間だけです。

Vals Indexでは、Carbonは1テストあたり10.51ドル・約48分で、Anthropicの2モデルより安く速い結果でした(The Decoder)。

用途別の選び方

用途 有力な候補 根拠
コーディングをAIに任せる Claude Opus 5.5 AIにコーディングを任せる評価で62点(Carbonは59点)
長い資料をまとめて読ませる Gemini 4 Carbon(公開後) GraphWalksで96.2%(Googleの測定)
分からないときに答えないでほしい Gemini 4 Argon ハルシネーション率4%
金融・法務などの実務 Claude Sonnet 5.5・Gemini 4 Carbon Vals Indexで1位と2位(差0.49ポイント)
費用を抑えたい GPT-6 Astra・Claude Sonnet 5.5 Astraは評価1問あたりが最安。Sonnet 5.5は単価が安い
脆弱性の発見・修正 Gemini 4 Carbon セキュリティ3項目で首位(Googleの測定)。ただし提供は限定
今日から使いたい Gemini 4 Argon・Claude Opus 5.5・Claude Sonnet 5.5・GPT-6 Astra Carbonは一般には未提供

表は、公表されている評価からの当社の整理です。実際の業務では、同じ問題を各モデルに解かせて確かめてください。セキュリティの用途で限定提供になっている理由は限定提供とサイトの守り方の記事で解説しています。

よくある質問

結局、どのモデルがいちばん性能が高いのですか?

総合指標(Artificial Analysis)ではGemini 4 Carbonが59点で1位ですが、Claude Opus 5.5が58点、GPT-6 Astraが57点と僅差です。コーディングをAIに任せる評価ではClaude Opus 5.5、金融・法務などの実務評価ではClaude Sonnet 5.5が1位でした。「いちばん」は用途で変わります。

「OpenAIやAnthropicの最先端モデルを超えた」という報道は正しいですか?

総合指標と、Googleが選んだ17項目のうち15項目で上回ったのは事実です。ただし、他社のモデルが上の項目もあり、Googleの表には実務評価で1位のClaude Sonnet 5.5が載っていません。また、Carbonはまだ一般には使えません。

Googleの比較表に載っていないモデルはありますか?

あります。Vals Index v2.2で1位のClaude Sonnet 5.5(70.85%)は、Googleの比較表に含まれていません。表に載せるモデルは発表する会社が選ぶため、第三者の評価機関の一覧もあわせて確認してください。

ハルシネーション率が上がったのは問題ですか?

Artificial Analysisの評価では、正答率が48%から58%に上がった一方、分からない問いに誤って答える割合は4%から11%に増えました。それでもClaude Opus 5.5やGPT-6 Astra(50%)より低い水準です。社名や料金など正確さが大事な用途では、出典を確かめる運用が欠かせません。

自社に合うモデルは、どう確かめればよいですか?

実際の業務から10〜20問を用意し、同じ条件で各モデルに解かせて、正確さ・かかった時間・費用を記録するのが確実です。ベンチマークは候補を絞るために使い、最後は自社の問題で決めてください。

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出典

※本記事は2026年10月29日時点の公開情報にもとづいています。ベンチマークの値は評価の時期や設定で変わります。当社は特定のAIの会社と提携しておらず、記事の整理は公表された評価にもとづく当社の見解です。

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この記事を書いた人
齊藤一樹
齊藤一樹 代表取締役/Webマーケター

株式会社仁頼 代表取締役。横浜市在住。 2018年からデジタルマーケティング業界に携わり、Google広告・SEO・コンテンツマーケティングを中心に8年以上の実務経験を持つ。これまでに制作した記事は9,000本以上、70名を超える専門ライターとのチーム体制で、幅広い業界のWebマーケティングを支援してきた。 2022年9月に株式会社仁頼を設立。「受けた御恩を忘れず、信頼を得られるよう迅速かつ最適な対応をする」という信念のもと、SEO・広告運用・サイト制作などのマーケティング支援を行っている。 近年は、ChatGPTやPerplexityなどのAI検索でサイトが引用される「GEO(生成エンジン最適化)」の分野にいち早く注力。自社サービス「GEO Hack」を通じて、AI時代の新しい集客手法を企業に提供している。 「難しいことをわかりやすく、小さな会社にも大きな成果を」をモットーに、日々クライアントと伴走中。

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